大学生だからできることがある。東京の学生が下北山村から学んだ大切なこと。

執筆者
松村萌音
松村萌音
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私は、下北山村で「学生団体まとい(以下、まとい)」の一員として活動をしています。「まとい」は、地域と都市部の学生が持続的に“つながる”ことを目指した団体です。

 

東京生まれ、東京育ち。都会っ子の私がなぜこの団体を設立し、下北山村に何度も通っているのか、お話ししたいと思います。

 

 

私は、高校生のときから、“まちおこし”に興味を持っていました。当時目にしたテレビ番組や読んでいた小説が“まちおこし”を題材にしたものだったことがきっかけです。

 

地方の温かさって実際どんなものなんだろう?

 

そんな漠然とした思いを抱えながら大学生になり、本屋でふと手に取った雑誌『ソトコト』で「むらコトアカデミー」という講座が開かれることを知りました。約半年に渡って下北山村について理解を深め、それぞれの関わり方をプランにする講座です。

 

ひとつの地域と深く関わるチャンスかもしれない!

 

そう思い、思い切って講座に参加しました。社会人の大人の方々に混ざって「村に対して私にできることはなんだろう」と考えながら、初めて下北山村を訪問。

 

製材所を見学させていただいたり、ゲストハウスを営んでいらっしゃるご夫婦のお話を聞いたり、前鬼集落を訪ねたり。今まで触れたことのないもの、聞いたことのなかったお話をたくさん聞きました。大学生になるまでに様々なことを勉強し、テレビやネットで様々な情報に触れてきた“つもり”でしたが、まだまだ知らないことがたくさんあるのを実感しました。

 

川の水が見たこともないぐらい綺麗だったり、自然に配慮した生活をしている方がいらっしゃったり。「知らないことを知る楽しさ」を感じると共に、「まちおこし」の考え方が必ずしも一様ではない、ということを考えさせられました。

 

「少子高齢化が進んでいる村だから、まちおこしをしなきゃいけない」という手を差し伸べるような考え方ではなく、村で生まれている価値観や生活に寄り添って、持続的に村と関わり続けること自体に意味があるのかもしれない。大学生の私だからできる関わり方をしたいと思うようになり、生まれたのが「まとい」でした。

 

 

下北山村の魅力やそれを知る楽しさを、もっと多くの人に感じてもらいたい

 

学生主体で村と持続的に関わることができないか、模索する日々が始まりました。

 

まずは、私と同じように地域や都市に関心のある大学の友人に声をかけ、今抱えている想いと一緒に活動してほしいことを伝え、活動に誘いました。とはいえ、村のことを何も知らない友人と話していても、学生団体の活動内容はなかなか深まりません。

 

そこで、彼らを連れて再び下北山村に向かうことにしました。友人に村の魅力を感じてもらうことが第一のステップだと思ったのです。

 

 

東京の大学生が急に訪ねてきても、役場の方は村の方との接点を設けてくださり、快くお話を聞かせていただくことができました。村を見学し、自然の魅力、人の魅力を友人に感じてもらうと共に、空き家が多いという課題や、中学生と大学生の交流がないといった学生だからできそうなことも見えてきました。

 

そうした事実を踏まえ、「まとい」の活動方針を、村内外の人々が集う拠点となる空き家の改修、中学生との交流、地域プロモーションの3点に定め、役場の方に提案書を提出しました。

 

提案書なんてつくったことも出したこともない私は、書き方も、書くべき内容もわからず、提案したことでどれだけ費用がかかるのか計算もできませんでしたが、「この想いだけはなんとか伝えたい!」と、思い切って提案しました。

 

そんな抜け穴だらけの提案書に対して、役場の方々は、「なかなか面白い事業だね」と興味を示してくださいました。そして、プランは役場の方がブラッシュアップしてくださり、「関係人口事業モデル」の一貫として動き出すことが決まったのです。

 

 

東京のしがない大学生が毎月のように下北山村に向かい、大きなプロジェクトの一端を担えているのは、ひとえに、関わってくださった「人」のおかげです。

 

周りの学生たちから「学生団体を立ちあげちゃうなんてすごいね!」と声をかけられることもあるのですが、「私一人でできたことなんてこれっぽっちもなかったなあ」と思うことが何度もあります。「むらコトアカデミー」に参加していた方々からインスピレーションを受けたり、行き詰まったときは一緒に並走してくれる学生団体のメンバーがいたり。

 

そしてなにより、アイデアベースの提案に対して、一緒に考えて、一緒に笑って、一緒に泣いて、同じ温度で真剣に向き合ってくださる役場の方、村の方がいらっしゃいました。たくさんの「人」が関わってくださったことで、一人の学生の小さな想いが、関わってくださった全員の大きな想いに変化し、プロジェクトを実現することができました。

 

 

活動する上で、私はひとつ心掛けていることがあります。自分の感情を大切にする、ということです。私はただの東京の大学生ですが、そんな普通の大学生だからこそ考えられることがあり、提案できることがあると考えています。

 

 

どんなに小さくて稚拙な考えでも、自分の意見を積極的に発信することで、様々な人と出会い、様々な人の考えに触れ、多角的な視点を持つことができるようになります。そうやって、自分の考えを広く深くしていくことの大切さを、活動を通して学びました。

 

空き家は、昨年度から改修に取り掛かり、解体、DIYすべてのフェーズに関わりました。

そして昨年12月、ついにすべての工程が完了。

 

 

生まれた拠点は、その名も「むらんち」。

 

村の人にとっても、村外の人にとっても誰かの家に集まる感覚でふっと訪れることができる場所。ここにくればみんなと会える、新しい出会いもある。そんな場所です。

 

 

初訪問からもう3年。街にいても、あの人やこの人の顔が思い浮びます。気がつけば下北山村は、私にとってなくてはならない、第二のふるさとになりました。

 

All photo by Yuta Togo

Matsumura Mone
松村萌音

東京都出身。慶應義塾大学在学中。大学2年時に、下北山村と都市部の学生が“つながる”ことを目的とした「学生団体まとい」を立ち上げる。定期的に村に通いながら、関係人口としての関わり方を模索中。

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