わが子のように育てた果実をおすそ分け。「としちゃんのブルーベリー」

  • 作り手 | 近藤登志子さん
執筆者
村島みどり
村島みどり
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こんにちは、下北山村ふるさと納税担当の村島みどりです。今回ご紹介するのは、ご夫婦でブルーベリー畑を営む、近藤登志子さん(通称としちゃん)。

 

お花みたいにやさしくて、やわらかくて、芯が強くて、一緒にいたいと思わせる圧倒的安心感。大阪から移住した私にとって、下北山村の母のような存在です。

 

そんなとしちゃんの魅力と、としちゃんが愛情込めてブルーベリーを育てる様子を、少しでも皆さんにお伝えできたらと思います。

 

 

たくさんの夢を広げて下北山村へ

冷凍ブルーベリーとブルーベリージャムが、2019年から村のふるさと納税返礼品に選ばれています。全国にリピーターがいる人気の品です。ジャムに入っているのは砂糖とレモン果汁のみで、口に含むと爽やかな自然の甘みを感じられます。

 

 

としちゃんは現在71歳。佐賀県生まれ、5人兄弟の末っ子。物心ついた頃からお花が大好きで活発な子どもでした。家の周りはとしちゃんが植えたお花でいっぱいで、とにかく育っていくのがうれしかったそう。

 

 

母は野菜作りの名人と評判で、「うちのさつまいもは甘い!」と言ってたんよ。考えると私もブルーベリーや野菜やあれこれ作ってみんなにおすそ分けしてる。「うちのブルーベリーは甘い!」と言ってる。母に似たんやね(笑)。

 

親元を離れ、岐阜県の高校家政科に入学。そこで晴悟さんと出会い、のちに結婚。卒業後は子供服をつくる会社に就職し、長く兵庫県で暮らします。

 

子育てが落ち着いた2002年、としちゃんは晴悟さんのふるさと下北山村へやってきました。

 

たーっくさん夢を広げて村にやってきたんよ。マンション暮らしより田舎暮らしのほうが好きやからね。喫茶店しよう、ブルーベリー作ろう、あれもこれもしようって。

 

 

収穫しながら交流を楽しむ

7月下旬の早朝5時、日が当たらない涼しいうちからブルーベリーの収穫が始まります。鳥のさえずりが聞こえ、朝の爽やかな風が吹く、なんとも気持ちいい時間です。

 

 

実の色づき具合を確かめながら、ひとつひとつ手で摘みます。まだ赤い実も明日には黒くなります。毎日摘み続けないといけないので、夫婦2人だけでは手が回りません。

 

そこで、最近は村内外多くの方が収穫を手伝っています。「学生団体まとい」の東京の学生さんたちや、ワーケーションで滞在中の方、さらには旅人求人サイト「SAGOJO」でもお手伝いしてくれる方を募集し、さまざまな旅人が最盛期の収穫を支えています。

 

人が大好きなとしちゃんは、毎年色んな人との交流を楽しみにしているといいます。

 

 

摘むのは真っ黒なんがいいけど、裏を見たら、「あら、まだ赤かったな」って実もあるでしょ。全然いいのよ、一日ざるに置いとくと熟していくからね。

 

としちゃんのにぎやかな声が畑に響く。

 

平ざるに、それぞれのかごからブルーベリーをざざーっと広げる。きらきら光って宝石みたいだ。

 

 

2時間くらい作業した後は、愛情たっぷりの朝食が待っている。

 

せめてものお礼として、お手伝いしてくれた人には朝ごはんを食べてもらってるの。ブルーベリー収穫だけだとそこまでじっくりお話できないからね。

 

コーヒーとサラダ、ソーセージに目玉焼き。分厚い食パンにこれでもかってくらいの量のブルーベリージャムを塗ってほおばります。粒がごろっと残っていて甘酸っぱくて、疲れた体に染み渡る感動的なおいしさなのです。

 

 

趣味で始めたブルーベリー作り

としちゃんがブルーベリーを育てるようになったのは、滋賀県の「ブルーベリーフィールズ紀伊国屋」を訪れたことがきっかけ。夫の晴悟さんと丘の上のレストランでブルーベリー煮込みの肉料理を楽しむひととき、目の前には琵琶湖と雄大なブルーベリー畑が広がっていました。

 

お父さん、私これがしたい!

 

素敵な景色、おいしいブルーベリーにすっかり魅了され、やってみることに。

 

 

初めはブルーベリーの木を8本、庭に植えてみました。そこから挿し木をして徐々に増やし、今ではなんと120本に! 先代から受け継いだ200坪の茶畑はブルーベリー畑へと生まれ変わったのです。

 

 

周りの人からは「どうせ植えるんやったら、野菜とか食えるもん植えたらいいのに」と言われながらだったそう。

 

いいのいいの、野菜はみーんな作ってる。ブルーベリーを選んだのは、みんながやってないことをしたかったのもあるんよ。そもそも食べる野菜より、小さい頃から花が好きやったから。

 

当初は親戚や友人におすそ分けしていただけでしたが、評判が広まり、売ってほしいという人が出てきました。さらに村のSNSで紹介されたときにも反響が。それならやってみようと決心がついて、2018年に商品化。「としちゃんのブルーベリー」の誕生です。

 

 

最初、趣味から始めたものだから、個人で販売もできるっちゃできるけど、やってないの。村の力になりたいって思いが強いから、村内のお土産屋で置いている以外はほとんどふるさと納税の返礼品に提供していてね。今こうやって、村にちょこっとでも貢献できているのがうれしい。これからも全国のみなさんに喜んでもらいたいから頑張ります。

 

 

私は下北山村でふるさと納税協力事業者のサポートをさせていただいていて、今年で4年目になります。としちゃんは、この仕事を始めて1年目の私でも「みどりちゃん、これ相談なんやけど」と頼ってくれていました。力になりたいと思うし、話すと元気がもらえるし、頼られるって嬉しいものです。

 

ブルーベリー畑を手伝う旅人や移住者たちは、みんなとしちゃんとの交流を楽しんでいます。彼女の人柄に惹かれて、今年も大阪や神戸からのリピーターが収穫を手伝います。としちゃんはおいしいブルーベリーだけでなく、下北山村のファンも作っちゃっているのです。

 

 

人に喜んでもらいたい気持ちが強過ぎて、ブルーベリーをおすそ分けし過ぎてしまったり、ジャムを食べてもらいたいからと朝食を用意したり。そんな愛情たっぷりなところが大好きです。そんなとしちゃんが作るブルーベリーをぜひ一度、食べてみてください。きっとあなたも幸せな気持ちになるはずです。

 

Murashima Midori
村島みどり

1989年、大阪生まれ。宿泊型転地療養サービス「ムラカラ」を利用したことがきっかけで下北山村に移住。村の自然に癒され、村民さんとのあたたかい交流を経て回復した。2021年から村のふるさと納税担当として奮闘中。お笑い大好き。

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